ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
嶋田先生は一瞬、うろたえるような表情を浮かべて、私と朝比奈先生を交互に見た。



でも、すぐに余裕のある笑みに変わり、



「そうかい、まさに美男美女で、お似合いじゃないか。

末永く仲良くしたまえよ。

じゃあ、私はこれで」



と手を振り、廊下の奥へと消えていった。



その後ろ姿をしばらく見送ってから、朝比奈先生がゆっくりと私を振り向く。




「………智恵子。

いったいどういうこと?

俺というものがありながら、他の男とホテルにいるなんて」




やけに悲しそうな声に、私は思わず怯んでしまう。




「………いえ、あの……近くのレストランで仕事の話をしていたんですけど。

上のバーに連れて行かれて、飲んでいたら、そのまま部屋に誘われて……」




なんだか言い訳がましい口調になってしまうのが、自分じゃないみたいで気に入らない。


でも、朝比奈先生の顔を見ていると、そんな言い方になってしまったのだ。




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