ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「あー、それは、確かアオイちゃんが一年くらい前に持ってきてくれたやつかな」



「へえ、そうなんですか」




たいして興味もないので、適当に返事をする。



アオイちゃん、ねえ。


小花柄のエプロンをつけてテディベアのミトンを使うなんて、さぞや女の子らしい子なんだろう。


私とは正反対の。



ぼんやりとそんなことを考えていると、先生がひょい、と私の顔を覗きこんできた。




「………なんですか?」



「いや、妬いてくれてるのかなあ、と思って」



「…………」




そんなわけないじゃないの。


私はあんたのことなんて好きでもなんでもないんだから。



というか、私はあんたみたいに恋にうつつを抜かしたりしないのよ。


誰のことも好きになったりしないの。



だから、妬くなんてありえない。



でも、これはチャンスだ。



恋のゲームに勝つためには、有効なルールってものがある。



『ちょっぴりやきもち焼きな女を演じる』



嫉妬されて喜ばない男はいないから。




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