ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「ごはん作りますから、少し待っててくださいね」




恋のゲームの必勝ルール、その3。



『嫉妬はしつこくしすぎない』。



男はワガママだから、嫉妬はされたいくせに、しつこいのは嫌いなのだ。



だから、妬いてみせるときは、適度に。


引き際を間違ってはいけない。


あんまり食い下がりすぎて愚痴ぐち言い過ぎると、ただの面倒くさい女になってしまう。



私は何気ないふうを装って、レジ袋から材料を出し始めた。



次に、包丁やまな板を調理台の引き出しから取り出して、軽く水洗いをする。




あんまり汚れてなくてよかった。


気持ち良く料理ができそうだ。




「なにか手伝うことある?」と先生が首を伸ばしてきた。




「いえ、先生はリビングでゆっくりしててください」



「はあい。大人しく待ってまーす」




去り際にまた、先生は私の頬に唇を寄せた。



まったく、あんたはキス魔か。




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