ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「お待たせしました」




お盆にのせてリビングに運ぼうとすると、先生がさりげなく料理を受け取ってくれた。



テーブルの上に並べていく。




肉じゃがとほうれん草のおひたし、わかめと豆腐の味噌汁、それと温かいご飯。




「純和風の家庭料理だね。

なんか意外だったな」




先生が目を丸くしてテーブルを見つめる。




「そうですか?」




私は首を傾げてみせたけど、もちろん、このメニューも計算のうち。




恋のゲームの必勝ルール、その4。



『男を落とすには胃袋をつかめ。

しかも、家庭料理や和食で』




男は結局、家庭的な女が好きなのだ。



だから、肉じゃがやハンバーグを作ると、例外なく喜ぶ。



しかも、私みたいな垢抜けたきれいな女が、田舎の母親が作るような家庭料理を出すと、そのギャップの意外性で、男は完全にやられてしまうってわけ。




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