ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛







「………智恵さん、本気なんですか?」




隣でわなわなと拳を震わせている男をちらりと見て、私はゆったりと微笑む。




「ええ、本気よ。

私、あなたに嘘なんかついたことあったかしら?」




そう言ってグラスを揺らすと、中で氷がからんと鳴った。


男は眉をひそめ、そのあと、今にも泣き出しそうな顔になった。



こいつは、年下であるのを良いことに、いちいちこういった甘えた表情をしてくるのが面倒くさい男だ。



仕事の関係で出会って、熱烈なアプローチを受けて、まぁ仕事がやりにくくなっても嫌だし断るのも面倒だ、と思って付き合うことにしたんだけど。


結局、付き合ってみても、やっぱり面倒な男だった。



年下の男って、初めのうちは可愛いと思えるんだけど。

だんだんその甘えたところがうざったくなってくるのよね。




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