ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
あの日ーーー先生の部屋で夕食を作った日から、私は先生に全く連絡をとっていなかった。



先生のことを好きにならないと、先生は私に惚れてくれない。


それが分かって、私は身動きがとれなくなってしまっていた。



でも、そんなことで諦めるわけにはいかないのだ。


私にとっては、仕事が人生で一番大事。


仕事で成果を上げなければ、私の存在意義はない。



だから、何が何でも、先生を惚れさせなければいけないのだ。



編集長のおかげで目が覚めた。



正直、どうすればいいのか分からないけど………悩んでいたってしょうがない。


とにかく、体当たりするしかない。



私は自分を奮い立たせて、先生の部屋のチャイムを鳴らした。




「おはよう、智恵」




先生は相変わらずの満面の笑みで私を出迎える。



私も微笑みを浮かべて、




「突然すみません。

お時間をいただき、ありがとうございます」




と頭を下げて、部屋に入った。





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