ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「………また散らかってますね」




部屋じゅうに散乱した本たちが目に入り、私は溜め息をもらす。




「だって、智恵が俺のこと放っておくからさ。

ときどき片付けにきてくれるって約束だったのに」



「放っておくって………たった一週間ちょっとじゃないですか」



「一週間も会いに来てくれないなんて、ちょっとじゃないよ」




先生は駄々っ子のように唇を尖らせた。


本当に子どもみたいな人だ。




「とにかく、このままじゃ落ち着かないので、片付けましょう」



「ありがとう、頼んだよ」




先生が当たり前のように言ったので、私はきつい視線を投げかける。




「なに言ってるんですか、先生も手伝ってください。

片付けのしかたを教えますから」



「え、俺も?」



「そうですよ。ご自分の部屋でしょう」




先生はびっくりしたように目を瞠っている。




「………驚いたなあ。

そんなこと言われたの、初めてだ。

今までの女の子はみんな、俺は何もしなくていいからって言って、さっさと片付けてくれたんだよ」




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