ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
でも、ほんとは、一方的にアプローチを受けたってわけじゃない。



この男---佐竹は、

見た目が良くて、背も高くて、おまけに学歴も年収も申し分ない。



そういうわけで、うちの同僚の阿呆な女たちが、ぎゃあぎゃあ騒いでうるさくって仕方なかった。



うちの会社と取引をしている大手企業で営業をしているこいつが社にやってくるたびに、馬鹿女たちが、


誰が佐竹さんを落とせるか、

告白しちゃおうか、


なんてキャピキャピ色目を使って、本当に不愉快だったわけ。



無駄話してる暇があったら仕事しろよ。


………ってなわけで、私は、佐竹を落としてやることに決めたのだ。



もちろん、女の私のほうから告白するなんて、無粋なことはやらないわよ?


二人きりになったときにちょっと甘い雰囲気をつくって、

この前カレシと別れちゃって、なんて寂しげな表情を見せてやって、

少しだけ、控え目なボディタッチをしてやったりして。



そしたらもう、イチコロ。


佐竹は私の思い通り、あっという間に私の魅力の虜になったってわけ。





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