ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「私はそこらへんの女みたいに、顔とかスタイルとか雰囲気とかで、安直に好意を寄せたりしないんです」




きっぱりと言い切ると、先生はなぜか少し嬉しそうな顔をした。




「それってつまり、智恵子は俺のこと、顔もスタイルも雰囲気もいい感じって思ってくれてるってこと？」



「…………」




なんてポジティブな。


このひと、きっと、悩んだり落ち込んだりすることないんだろうな。




「………まあ、外見はいいほうなんじゃないですか？

いつも笑顔っていうのも、そこらの女は好きそうですよね。

ま、へらへらしてるだけ、とも言えますけど」




嫌味で応酬した私を、それでも先生はにこやかに見つめ返している。




「つまり、智恵子にとっては、外見よりも中身が大事ってことだね？

中身がいいと思えば、好きになってくれるわけだ」



「………まあ、外見よりは、もちろん中身が大事だとは思いますけど」




でも、そもそも私は、外見だろうが中身だろうが、人のことを好きになったりしないんだけど。




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