ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「よし、わかった!」




先生がいきなり、ぽん、と両手を打ち合わせた。




「じゃあ、これからデートをしよう」



「………は?」




唐突すぎて理解が及ばない。


ぽかんとしている私に構わず、先生はすくっと立ち上がった。




「思ったんだけど、俺と君は、まだ知り合って間もない。

だから、君は俺のことをなにも知らない。


そんな状態で好きになってほしいなんて、俺の心得違いだったって反省したんだよ。

だから、今日は一日中いっしょにいよう。


そうしたら、俺のこと、少しでも分かるようになるでしょ?」




「………はあ、まあ……」




なんだか上手く丸め込まれてる気がするんだけど………。



でも、先生の言うことも一理ある、かも?




「………分かりました。

じゃあ、会社に一報入れてもいいですか?

今日は今から有給を頂くことにします」



「有給? 真面目だなあ。

俺と一緒にいるなら、仕事の一環みたいなもんじゃない?」



「そんなわけありません。

勤務中にデートなんてできるわけないじゃないですか」




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