ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「ふうん………じゃあ、智恵子は仕事じゃなくても俺とデートしてくれるってことか。

嬉しいなあ」




妙にうきうきしている先生は放っておいて、私は編集長の仕事用の携帯に電話をかけた。




『もしもし、香月か?』



「はい、そうです。お忙しいところ申し訳ありません。

急なんですが、今日はこれからお休みを頂きたいんですけど、大丈夫ですか?」



『は? 休み? お前、朝比奈先生のとこ行ったんじゃないのか?』



「そうなんですけど、えーと………諸事情により、先生と出かけることになりましたので」



『ほう。新作のネタ探しか? それなら休みとる必要ないぞ』



「いえ、ネタ探しでは……まあ、うまくいって回り回ったら、新作にたどり着くかもしれませんけど」



『ん? どういうことだ?』




怪訝そうな声を上げた編集長に、




「とにかく、そういうことで」




と告げて、私は電話を切った。




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