ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「どうも。朝比奈といいます」




先生は微笑みを浮かべて軽く会釈をした。



加藤さんも「加藤です」と頭を下げる。




「智恵とは高校の部活が一緒でしてね。

あ、僕のほうが一学年上だったんですが」



「ああ、そうなんですか」



「こいつとは付き合って長いんですか?」



「いえ、まだ日は浅いですが」




二人が穏やかに言葉を交わすのを、私は何とも言えない複雑な気分で眺めている。



加藤さんがちらりと私に目を向け、親指で私を指した。




「こいつ、美人だけど、ほんとに可愛げがないでしょう?」




薄く笑いながら言われて、心臓が激しく跳ねあがった。




「気は強いし、あんまり笑わないし、他人を寄せつけないっていうか、ね。

部活でも浮いてたんですよ。

まあ、僕と付き合うようになってからは、他のやつらとも少しは話せるようになったんですけどね。


でも、ま、可愛げがないだけで、根は悪いやつじゃないんで、よろしくお願いしますよ」




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