ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
電車を待つ間に、待合室に入る。


気候がいいからか、待合室の中は誰も入っていなかった。




「あの男は、智恵子のことを傷つけたの?」




いきなり、先生がそんなことを言った。


私はびっくりして目を上げる。




「あはは、顔に図星って書いてあるよ」



「………そんなこと」



「でも、当たってるでしょ?」




先生が大したことじゃないように言うので、私も気がついたら素直に頷いていた。




「………初めて付き合った人だったんです。

加藤さんはテニス部の先輩でした。


私、昔から、周りの女の子とは仲良くできなくて。

部活の中でも浮いていたんですけど、加藤さんは何かと話しかけてくれて……。


いい先輩だな、と思っていたら、急に告白されたんです。


べつに恋愛感情なんて持ってなかったんですけど、断ったら同じ部活内で気まずくなりそうだし、

優しかったし、みんなに好かれていたし、いいかな、と思って付き合いだしました」





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