ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
私は俯いて、首を横に振った。



頭が真っ白になって、どうすればいいか分からなかった。




ちがう。


恋なんて、ひまつぶしのゲームなんだから。


私はゲームに勝ちたいだけ。


男を自分の虜にして、夢中にさせて、思い通りにあやつりたいだけ。




だから、こんなのーーーちがう。




私が男を好きになったら、負けなの。


自分のほうが想いが大きいと、絶対に傷つくことになるんだから。



だから、それはできない。




私は先生の手を振り払った。




「………それは、できません」




きっぱりと拒否したつもりが、かすれて震えた情けない声になってしまった。



私は先生から目を逸らし、急いで駆け出して、そのときちょうどホームに入っていた電車に飛び乗った。



同時にドアが閉まる。



先生は、ガラス窓の向こうで、呆然としたように私を眺めていた。




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