ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
ぽそりと言って給湯器に向かうと、彼女たちがぽかんとした顔で私を目で追っているのが分かった。



………たしかに、今までの自分の言動を考えればこういう反応をされるのは頷ける。



私はコーヒーを淹れて、ゆっくりと振り向いた。




「………あの」




声をかけると、彼女たちはびくりと肩を震わせて目を見開き、じっと私の言葉の続きを待っている。



そんなに怖がられているのか、と自嘲的な笑いがもれた。




「………今まで悪かったわ。

ずいぶんきつい言い方ばっかりしてきたと思う。


偉そうなこと言ってきたけど、私も、集中できなくてぼうっとすることあるし………。

息抜きもしないで働けって言ってたのは、いくらなんでも横暴だったって、今は反省してる」




自分でも驚くくらい、するすると素直に言葉が出てきた。



自分の非を認めるようなことなんて苦手だったのに。




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