ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「そうですよ。

たまにはゆっくり休まないと。

有給もほとんどとってませんよね?

休日も出勤してるって聞きますし」




「最近なんだか元気がないよね、ってあたしたち話してたんですよ」




思わぬ気づかいの言葉をかけられて、今度は私がぽかんとする番だった。



彼女たちには、今までかなり嫌味を言ってきた自覚がある。


それなのに、私に対してこんなことを言ってくれるなんて。




「………ありがとう。大丈夫よ」




なんとか絞り出した声は、情けないことに掠れていた。




「あっ、香月さん、よかったらここ座ってください」



「なんだか顔色も悪いですし、ちょっと休んだほうがいいですよ」




私は頷いて、佐野さんが示した椅子に腰かけた。




「コーヒーおかわりいかかですか?

淹れてきましょうか」



「いいの?」



「もちろん」



「ありがとう………よろしく」





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