ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
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タクシーに乗り込み、先生のマンションの住所を告げる。
運転手は、眠り込んでいる先生を見て少し眉をひそめたものの、なにも言わずにアクセルを踏んだ。
鞄の中を見てみると、運よく、コンビニで買い物をしたときに入れておいたレジ袋が入っていたので、先生がもし吐き気を訴えても大丈夫、と安心する。
窓に映る夜の街並みをぼんやり眺めながら、私はさっき言われたことを思い返した。
ーーー『運命の恋を探してたんですよ』
ーーー『真実の愛ってやつ、教えてやってください』
………運命の恋?
本当にそんなものあるの?
真実の愛?
そんなの、私だって知らない。
先生はシートに深く身を埋めて、私の肩に頭を乗せて眠っている。
睫毛が長いな、と思った。
そういえば、先生の寝顔は初めて見る。
私と先生は『恋人どうし』で、もう何ヶ月も経っているのに、眠っている姿さえ見たことがない。
私たちはまだ、付き合っていると言えるほど深い関わりを持っていないのだ。