ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
むかついたので、ちょっといじめてやることにした。




「………それで?

今日はどういう理由で振られたわけ?」




私がくすりと微笑んで訊ねると、男はぱちぱちと瞬きをしてから、ほろりと涙を流した。




「聞いてくれますか〜?

あのね、サナエちゃんと待ち合わせしてて、駅前で待ってる時に、となりにすんごい可愛い女の子がいて。

思わずお話してたら、それをサナエちゃんが見てて〜、ものっすごい怒られちゃって、もう別れる〜って………」




男はそれはそれは悲しそうに顔を歪め、カウンターに突っ伏して再び泣きじゃくり始めた。



ウザいので、私は一刀両断してやる。




「自業自得でしょ。

どうせ鼻の下伸ばしてヘラヘラ喋ってたんでしょうが」




すると男は涙の溢れる目を上げ、私を見つめ返してきた。





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