ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「ほんと、ただちょっとおしゃべりしてただけなのに。

サナエちゃん……優しいし美人だし料理上手だし、これはもう絶対運命の相手だと思ってたのに……。


うー、やだよ、別れるなんて!

こんなに好きなのに、どうして?」




情けない泣き声をあげる男を横目に見て、私はふふんと笑う。




「あんた、馬鹿ねえ」




思いきり蔑むような口調で言ってやると、男は目をぱちくりとさせて私を見た。




「恋なんて、ひまつぶしのゲームみたいなものじゃない。

本気になったほうが負けなのよ」




私がそう言ってカクテルグラスを傾けると、男は驚いたように目を見開いて、がばっと立ち上がった。




「恋はひまつぶしのゲーム!?

本気になったほうが負け!?

なに言ってるの!?

そんなわけあるはずないじゃん!!」




突然口調を変えた男の、あまりの剣幕に、私はぽかんと口を開いたまま、不覚にも呆然としてしまった。






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