ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「はやく、消えてよ」



「………っ、智恵ちゃん!」




もう、こんな瀟洒なバーで、そんな下品な声ださないでよね。


隣にいるのが恥ずかしくなるじゃない。




「………今まで僕は君に、あんなに、あんなに尽くしてきたじゃないか!

ティファニーの指輪もネックレスも、シャネルのバッグもプラダのハイヒールも、君のために買ってあげたじゃないか!

それなのにどうして、別れるなんて言うんだよ!」




………だから、そーゆーとこが重いのよ。


シャネルのバッグもプラダのハイヒールも、私はちっとも欲しくなかった。

指輪もネックレスも、あんたの自己満。


勝手に買ってきたくせに、今さら恩着せがましくそんなこと言うなんて。

まったく呆れた奴だ。



そもそも、そこらの女と違って、私には、アクセサリーもブランド物も必要ないのよ。


そんな上辺だけの宝飾品で飾り立てなくたって、私は充分、美しいし、魅力に満ち溢れてるでしょ?


そんなことも分からないのかしら?




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