ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
それを良いことに、男の独壇場が始まる。




「本気じゃない恋なんてないもん!

俺、よく『惚れっぽい』とか『浮気性』とかって言われるけど、浮気なんて一度もしたことない!

俺はいつだって本気で恋してるんだ!」




………恋人がいるのに他の女を『本気』で好きになることを、一般的には『浮気』と言うんじゃなかろうか。



まさに、『気持ちが浮ついてる』ってことじゃない。



そんな私の心の声が聞こえるはずもなく、男は真剣な眼差しで私に訴えかけてくる。




「恋はゲームなんかじゃない!

勝ち負けなんてものは存在しない!

恋っていうのは、本気で愛し、愛されたいと願う、魂の叫びなんだ!

だって、人間は……」




男は涙目で私を見つめる。




「僕は確信したい。

人間は恋と革命のために生まれてきたのだ!」





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