ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「あなただって、本当はそう思ってるんじゃないの?」




男が穏やかな笑顔を崩さないのが気に食わなくて、私はわざと、怒らせるようなことを言ってみる。




「だって、恋人がいても、いつも他の女に目移りしちゃうんでしょ?

つまり、あなたも、恋はゲームみたいなものって思っていて、

女を落とすことが楽しいんじゃない?」




それでもやっぱり、男はにこやかな表情のままだった。




「それは違うね。

何度も言うけど、俺は、浮気なんかしたことない。

俺はいつだって、みんなに対して、本気で恋してるからね」




どうやら本気で言っているらしい。


私は吐息を洩らした。



だめだ。

この男とは、どれだけ話し合ったって、絶対に理解しあえない。



なにもかも、考え方の根本から、私たちは正反対だ。





< 34 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop