ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「どうやら、あなたとは根本的に気が合わないようね。

これ以上話していても無意味だから、私はここで失礼するわ」




私がそう言って立ち上がると、男は目を丸くして、




「え、もう帰っちゃうの?」




と残念そうな顔をした。


その無垢そうな、いかにも母性本能をくすぐる気満々の表情に、何人の女が騙されたのかしら?




「ええ。私、無意義なことは嫌いなの。


ま、あなたも、恋に現を抜かすのはほどほどにしておくことね。

貴重な人生の時間の空費よ。


それじゃ、帰るわ」




「残念だなぁ。じゃ、またお会いできる日を楽しみにしています」




「私は会いたくないけどね。

ごきげんよう」





私は最高の笑みを置き土産にして、男のもとを離れた。






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