ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
という私の感想を知ってか知らずか、コウちゃんとやらは口を半開きにしてぽかんと私を見つめている。



なによ、失礼なやつね。


私は前に向き直り、華奢なカクテルグラスの縁にゆっくりと唇をつけた。



あー、品のない男が隣にいるとはいえ、やっぱり美味しいものは美味しい。



………という私の満足感が、またもや不躾な声に破られた。




「………コウちゃんの、馬鹿っ!!」




甲高く響く、ヒステリックな女の声。



ちらりと視線を送ると、号泣男の隣で顔を真っ赤に染めている女が目に入った。



うっすら涙を浮かべて、きつい目で男を睨みつける女。




「この浮気男っ!!

ちょっと綺麗な人だからって鼻の下のばして……っ!!

浮気ばっかりの最低男!!

そーゆーとこが嫌になったのよ!!」




女はハンドバッグで男の頭を思い切り殴りつけ、ばたばたと立ち去っていった。





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