ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛
「それに、君が恋のゲームに勝って、俺を本気にさせることができたら、俺は小説を書けるんだよ。


つまり、君にとっては一石二鳥!

百利あって一害なし!


ほぉら、いい話でしょ?」




「………うーん、そ、そうかも………?」




なんか、うまく丸め込まれた気がするんだけど。




「よしっ、じゃあ、交渉成立!」




先生はぱっと笑顔に戻り、楽しそうに両手を合わせた。




「それでは、本日より、俺と君とは恋人どうしになります!」




「………はぁ」




「というわけで、これからは俺を『先生』と呼ばずに、光太郎さん、もしくは光太さんと呼ぶこと!」




「…………」




「あれ? 返事がないなぁ。

そんなことじゃ、俺、君の愛を疑ってしまって、本気の恋ができないよ」




ーーーいやいや、愛なんてありませんから、これっぽっちも。


という言葉をなんとか呑み込み、私は微笑んでみせる。




「ええ、分かりました。仰せのままに」



「よろしい!」




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