ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛のレビュー一覧
平均評価星数
5.0
2015/08/08 23:40
投稿者:
馳月基矢
さん
ピュアな「初恋」に気付くまで
光太と智恵。 まるで高村光太郎・智恵子夫妻のような、素敵な名前の二人。 でも、名前の印象とは真逆に、その出会いは切なくもないし純情でもなく。 再会も再々会もまた、何とも言えないギャップや違和感に満ちていて。 お高く留まった智恵の言動に、どことなく、もろさや繊細さが垣間見えます。 光太や後輩女子たちとの関係の中で、智恵自身も気付いていなかった自分の本心に少しずつ近づいていく過程が素敵でした。 何を考えているか不明な光太。 非常にどうしようもない男。 だけど、妙にかわいくて、放っておけません。 一癖あるイケメンが「コミカル」且つ「キュート」、さらに時々きちんと「カッコよく」描かれるのは、汐見ワールドならではの魅力です。 純文学作家、光太の書く独創的で幻想的な文章世界が、二人きりの公園に現れるとき。 キラキラ輝くような風景とともに、光太と智恵は、何を思うのでしょうか。
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