白と黒の携帯
二番目の場所
徹の告別式。
今にも雨が降り出しそうなどんよりとした空模様。
周りはすすり泣く声で溢れてる。
学校が違うから徹の交遊関係は知らない。ただ、男子も女子も関係なくみんな泣いている事。
徹のやつ、中1の頃と何も変わってないじゃん。皆に好かれて輪の中心で………
「ほらあれ。徹の彼女だって」
「お通夜でも泣かないし、顔も見てあげなかったらしいよ」
「信じられない。お別れぐらい言ってあげて欲しいよ」
あちこちからの冷たい視線。あぁ、昨日の見てた人いたんだ。噂って早いよね。
「あの人モト彼のDVから徹に助けてもらって彼女に収まったんだって」
「うわっ、役得だね」
そんな声も聞こえて来たけど、関係ない。ホントの事だし。
ただやっぱり………
出棺前の徹にだけは会えなかった。
昨晩のTELが私にまだ徹の死を納得させていなかったから……。
周りからも再三言われたけどやっぱり無理で、終わる前に会場を後にした。
「あ、降って来た……」
フラフラ歩いて無意識に向かった先は………徹が一人で住んでいた旧前山邸。
そう。
あの日も雨が降ってたんだっけ………