白と黒の携帯
「お願い、徹無事で居て。会いたい………会いたいよ」
何度も何度も呟いた。
神様、神様。私はどうなっても構わないから。どうか徹を助けて………
-カタン-
ビクッ
外から聞こえる異質な音に私の心臓が跳ね上がる。
誰?
アイツの仲間が捕まえに来た?
振るえる身体をなんとか押さえて門が見える窓まで移動する。
そっと外を覗くと、門柱に寄り掛かり座り込む人影。
………一人?
傘はさしていない。
ふとその影が視線を移すのに頭を動かした時だった。
キラッ
「あれは!」
街灯の明かりが反射したのは、その人影の頭についているピン。まさか!
私は夢中で走り玄関から飛び出した。
「徹!」
ゆっくりとその影が振り返る。
「……ただいま」
弱々しいハスキーボイス。
傷だらけでボロボロではあったけど。そこにいたのは紛れもなく徹本人だった。
私は傘もささず一直線に徹に飛びつく。
「美潮?濡れるよ。それに俺泥だらけだし」
「バカ!」
慌てる徹を一喝するとその頬を両手で包む。
右側腫れてる……
「大丈夫?無事?本物だよね!?」
動揺して捲し立てる私の頭を自分の元に引き寄せる。
コツン
寄せられるオデコ。
「本物だよ。取りあえずうちに入ろ」
「そ、そうだね」
立ち上がった私に伸ばされる右手。
「ワリ………肩貸してくれる?俺もう立てねぇや」
弱々しく笑うその声に……ヤバい、泣いちゃいそうだ。雨降っててよかった。