白と黒の携帯
三番目の場所
「おかしい……」




携帯が繋がらない。誰にかけても呼び出し音すらしないのだ。




「壊れたのかな…」




買い換えようか一瞬考えたけど……今は徹からのTELが来るから。




でもあれから三日。一向に携帯が鳴る気配は無い。

なんで?あと五回ある筈なのに………







今までのTELを思い返してみる。一回目、徹と出会った公園。二回目は徹の家。





「思い出の…場所?」




徹に関係する思い出の場所なら幾つもある。
待っててもこないなら行ってみても良くない?






「よし……」





夜遅いけど、思い立ったら動いてみるしかない。携帯と財布だけ鞄に入れて階下に居る親にバレないように家を出た。





「バイク…は無理か」




車庫にいれてるバイク。出したら絶対見つかる。
仕方ないから置いて出かける事にした。





とにかく急いだ。終電に飛び乗る。
早く徹の声が聞きたかったから…………
今まで普通に毎日聞いていた声、もう三日も聞いていない。



禁断症状?胸がざわついて落ち着かない。
本当は顔も見れない。
触れる事も叶わない。
そんな状況に耐えられないけど…それでもまだ声は聞けるから。




「はあっ、はあっ………」




目的の駅で電車を降りてからはひたすら走った。
人通りのほとんど無い住宅地を通り抜け、河川敷を通って、そして桜並木の坂道を上ったらそこは――――――





私の学校。






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