白と黒の携帯
「そこの女に今までの俺らに対する数々の無礼の制裁加えようとしたらさぁ、邪魔すんだよね。いいカッコしたいんじゃないの?」


「ふ~ん……で?女に何かしたのお前ら」

「まだ何もして無いけどさぁ。あ、学年全部で総シカト命じてるくらい?」


「そう………」





じりっと二人が前に出た。
徹との距離が縮まる。間合い取ってるけど…あと半歩出たらやられる!




「じゃ勝クン、心クン…やっちゃってよ♪」


「「おっけ~ぃ♪」」



二人同時に返事した。



「ダメッ!」




徹が巻き込まれる。そう思った瞬間、体が勝手に動いてた。徹の前に出て抱き付く。
自分が痛め付けられるならいい。でもこれ以上徹が傷つくのは見たくなかった。





バキィッ!



グシャッ!!






打撃系の音がするけど………痛みは一向に訪れない。
衝撃に備えて固くしていた体に、徹の腕が回される。
恐る恐る顔を上げると、なんてことない平気顔の徹。
無事なの?なんで?


振り返ると………




倒れていたのは向こうの二人。顔面にはいっちゃったのか鼻血と泡噴いて倒れてる。

真ん中の一人はもう腰抜かして後退りしながら呟く。


「なんで?なんで………敵はあっちだよ?」

「いや、お前らだよ」


と赤い坊主の声。背を向けているからよくわからない。仲間割れ?



「戦友の女に粗相した奴には制裁加えないとなぁ、心?」



今まで黙っていたオールバックが初めて口を開く。




「お前達…死刑」




ビックリした。図体に似つかわしくない可愛らしい声。寡黙なのかと思ったら。そっか…ハクが付かないから黙ってたんだ。




「戦友?なんの?ねぇ勝クン、俺達友達じゃん……穏便に話そうよ」




男のくせにプルプル震えてる。格好悪い。さっきまでの威勢のよさはまるでない。


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