白と黒の携帯
「あれれ~?知らなかったの?そこにいる茶髪頭の彼、S潰した戦いの俺らのリーダー」
「はひぃっ!?」
「初恋の女取り戻す為なんて、泣かせると思わない?緻密な計画立てて、俺ら精鋭を指揮して、少人数で見事に勝った…英雄は徹だよな」
赤い坊主頭の言葉に、オールバックの男がウンウン頷いてる。
「そのやっと手に入れたお姫様においたしたら……そりゃあ怒るよなぁ」
オールバックの可愛らしい凄みに、真っ青で失神の男が慌てて土下座を始めた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!知らなかったんですぅ」
もぅ、地べたに擦り付ける勢い。周りの野次馬もザワザワしてる。この一件で、また一目置かれちゃうんだろうな……別にいいけど。
「どうする徹ぅ?お前の号令でいつでも処刑できるぞ?なんなら姫さんのほうでも…」
えっ、私?私にふられても………
思わず徹を見上げると……ニコッと笑う。背負った光りが眩しくて目を開けてられない。
そこに、徹のハスキーボイスが響き渡る。
「これ以上美潮に手出ししないこと、美潮を自由にすること。守るって約束できるなら……許してもいいよ」
「もちろん守ります!」
「破ったら……分かってるよな」
「は、はいぃ!」
『消えろ』と促すと、仲間を引きずり起こして、脱兎の如く逃げて行った。
「美潮?」
「ん?……あぁ」
ぼーっとしていた。徹に声を掛けられ、我に返る。
「アンタ…そんなことしてたんだ」
「ん~…バラすつもりなかったんだけどね」
「……バカだね」
「姫さ~ん。そりゃないよ」
クックッと肩で笑いながら近付いて来る二人。
「ごめん勝さん、心さん。アイツら呼んだのあんた達ってわかってたんだけどさ」
頭をかく徹に向かって、赤い坊主頭はカラカラ笑いながら肘の辺りをポカッと叩く。