白と黒の携帯
「いいって分かってるから♪ここで一発黙らせとけば、姫さんのホントの自由が守られるもんなぁ」
本当の自由?私の?
徹の横顔が少し照れくさそう。
「勝さんには敵わねぇなぁ」
「な~にをこの策士が♪」
「あの………」
私の言葉に三人が一斉に振り向く。
「勝さん、心さん……ありがとうございました」
素直に口にしたのは何年ぶりだろ。最近段々と徹に感化されて来た気がする。認めたくないけど……
「か~わい~♪徹ぅ、素直ないい子じゃん」
「いい子だな」
「だろっ♪」
二人にこずかれて、徹も嬉しそう。
「美潮~?俺は?」
「………調子に乗るな、バカ」
「ひでぇ!」
相変わらず徹には微妙に素直になれないというか、甘えられないでいるけど……徹はいつも私の自由のために動いてくれてる。
夕日の逆光を背負った徹は………眩しかった。
―P~P~PP~♪……-
「来た!」
やっぱりそうだったんだ。思い出の場所に徹のTELはかってくる。
今日も寸分の狂いも無く同時に鳴る白と黒の携帯。
-徹……-
一旦は私の携帯を開いた。でも、どうしてもボタンが押せない。指が動かない……。
すごく気になった。ボディにピンクのイルミネーションを光らせて、私達の着信音を鳴せている黒い携帯が。
-一回だけ……いいよ…ね-
ピッ
恐る恐る耳にあてる。
「……!!!!」
そこから聞こえてくる声に……絶句した。
「……お、美潮……。別れるなんて…嫌だ……」
徹!?これも徹なの!?このハスキーボイス…間違いない。私が聞き間違う訳ない。
電波が悪いような感じで所々聞こえないし、全てが聞き取りにくい。でも……