白と黒の携帯

「いいって分かってるから♪ここで一発黙らせとけば、姫さんのホントの自由が守られるもんなぁ」




本当の自由?私の?
徹の横顔が少し照れくさそう。




「勝さんには敵わねぇなぁ」

「な~にをこの策士が♪」




「あの………」




私の言葉に三人が一斉に振り向く。




「勝さん、心さん……ありがとうございました」




素直に口にしたのは何年ぶりだろ。最近段々と徹に感化されて来た気がする。認めたくないけど……




「か~わい~♪徹ぅ、素直ないい子じゃん」
「いい子だな」

「だろっ♪」



二人にこずかれて、徹も嬉しそう。



「美潮~?俺は?」

「………調子に乗るな、バカ」

「ひでぇ!」



相変わらず徹には微妙に素直になれないというか、甘えられないでいるけど……徹はいつも私の自由のために動いてくれてる。


夕日の逆光を背負った徹は………眩しかった。

















―P~P~PP~♪……-





「来た!」





やっぱりそうだったんだ。思い出の場所に徹のTELはかってくる。


今日も寸分の狂いも無く同時に鳴る白と黒の携帯。




-徹……-





一旦は私の携帯を開いた。でも、どうしてもボタンが押せない。指が動かない……。


すごく気になった。ボディにピンクのイルミネーションを光らせて、私達の着信音を鳴せている黒い携帯が。




-一回だけ……いいよ…ね-







ピッ






恐る恐る耳にあてる。




「……!!!!」





そこから聞こえてくる声に……絶句した。





「……お、美潮……。別れるなんて…嫌だ……」





徹!?これも徹なの!?このハスキーボイス…間違いない。私が聞き間違う訳ない。


電波が悪いような感じで所々聞こえないし、全てが聞き取りにくい。でも……




< 28 / 37 >

この作品をシェア

pagetop