白と黒の携帯
携帯を取り出してコールしてみる。
呼び出し音。
一回、二回、三回…………
-………RRR~♪-
背後でだんだん大きくなる着信音。徹のと同じ………
「……もしもし?…って。うわ?…とぉ、え?美潮!?」
振り返ると、数人の男子グループの中に、耳に電話をあてたままの徹が立って居た。
みんな見てる…
「ええっ!?どうしたのそれ!切ったの?」
あ、似合わないって言いたいんだ……。
だってあんぐり口開けちゃってさ。そんなに放心してるんだもん。
でも……
次の瞬間、気付くと人目はばからず、ガバッとその胸に抱き締められていた。
「すっげー可愛いから!!」
大声上げてはしゃいで、子供みたいに喜んでる。
「うわ~懐かしい!昔もこんなだったよな。今でも似合う!超可愛い♪」
「やめてよ、そんなにはしゃぐの……」
余りの喜びように、嬉しいくせに、他人に見られるのが恥ずかしくて、ついそんな憎まれ口をたたいてしまう。
「徹ぅ?彼女?」
背後からそんな声が聞こえる。
「そっ。美潮ちゃん♪可愛いだろっ?」
「やめてって……」
だって私まだ顔の痣治ってないし、制服から出てる手足も汚いまま。