白と黒の携帯
「大丈夫、大丈夫。ほとんど分かんないから」




全然気にして無い。つうか私は気にするっての!




「ふ~ん。その子が例の徹の想い人?」

「そ♪」




ギョッとして徹を見ると、悪びれもせずニコニコして……照れてる。

こんなとこでもばらしてんの!?ヤダもう……。
恥ずかしくて顔、上げれない。




「という訳でぇ、彼女迎えに来たから俺パスね☆」




一緒に居た子達に、ヒラヒラ手を振ってる。



「……どっか行くんだったの?」

「ゲーセンとカラオケ」

「行けばいーじゃん」

「……ヤダ」

「ヤダってあんた……」




駄々っ子みたいにふくれてる徹を見てると、呆れてものも言えない………

じゃなかった。

せっかく髪、切ったんだし、もっと素直にならなきゃ。

そんな自分の中の葛藤が表面に出てたのか、不思議そうに覗き込んでくる。
徹の顔が近い。




「どしたの?」

「別に……」

「ふ~ん…まっいいや。ところでさ、せっかく美潮が迎えに来てくれた事だし、ちょっと付き合って欲しいとこあるんだよね」

「どこ?」

「来て」



徹に手を引かれて、なぜか校門をくぐり校舎の方へ歩き出す。
もちろん他校の制服を着てる私はやたらと目立つ訳で。
ほとんど帰宅して余り生徒がいないとはいっても、まだ校庭では部活の最中だったりするし、すれ違う度に視線を感じる。



皆見てるじゃん……



「ちょっと。他校生入れちゃまずいんじゃないの?」

「平気平気。うち割りと自由な校風だし♪」
「そういう問題じゃないじゃん」

「いいから、こっちこっち」




校庭脇を通り、校舎と校舎の間から中庭を抜けて、見えてきたのはレトロな木造造りの建物。昔っぽくて、なんかそこだけ違う空間………


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