鬼姫マラントデイズ
だから私は…いつだって律希から、裏生徒会から逃げれるのに逃げなかった。



裏生徒会に関する資料を徹夜で読んだ時、思ったんだ。




『救いたい』



その5文字は軽いかもしれないけど…


お母様のように、私の大好きな妖たちがなる前に…




「…弓器出し」


私は弓を握ると、魔矢を取り出す。


「…雲隠れ・壊滅‼︎」



魔矢は音もなく真っ直ぐに進み…やがて、空気中でコツン、と音を出して止まった。



そこから溢れるように真っ白な煙が吹き出して…



私たちを包んだ。




「…勝手な行動だけど…まあ、許す」

「ありがと」



煙の中、律希が前に行くのが分かった。


そして…なにかが空気を切る音がした刹那

その切り口から、煙が晴れて…光が漏れ出す。




「……やっぱり」




光の中、現れたのは……物の怪。

律希もやっぱり分かってたんだ。


この物の怪が…




「金狐、か……」




金狐だったということを。



< 107 / 304 >

この作品をシェア

pagetop