鬼姫マラントデイズ
いつの間にか、彼は金狐の後ろにいて。



日本刀は赤の光をなくしていた。




そして…




『っ、ああああああぁぁぁぁぁ‼︎


あっ…ああ………』




物の怪が、妖に変わる瞬間

その変わる姿をうやむやにさせようとするように、鋭い叫び声が上がっていた…






「…物の怪が妖に戻るには、正気にするしか方法がない。


妖の心に悪しき心がまとわりつくと、それしか考えられなくなる。


そして、暴れる…地縛霊に似た妖を、物の怪と呼ぶ」



いつの間にか律希はこちらへ向かおうと歩き出していた。



「物の怪の心にまとわりついた邪気を含む悪しき心を取り除くには、

1度…倒すしかない」




ふらふらとよろめきながらも、律希は歩いてくる。

そして、私の近くへ来ると、力が抜けたかのように膝から崩れ落ちた。




「だいじょ…」


「俺の心配より、物の怪…

いや、


金狐の心配をしろ」





彼が指さす先には、倒れた金狐。

1度決定的なイメージを負ったから…正気に戻り、

物の怪から妖に戻ったのかな。



「接待安静。しばらく動いちゃダメだから」

「…ん」




絶対守る気ないな、コイツ。

そう思いながら私は、彼の背中を支えながら寝かせる。


下は柔らかい土…


虫とかはいるかもしれないけど、体自体に負荷はなさそう。




私は急いで金狐の元へと向かう。





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