鬼姫マラントデイズ
「金鞠……⁉︎

金鞠、なの……?」




後ろへ振り向いた先にいたのは

小さくて可愛い天使のような、


金鞠。




「おか、あさ…ん」



「金鞠、金鞠なのね…‼︎」





お互いかけあって、抱き合った。


まるで映画のワンシーン…映画見たことないけど…のようだった。



涙を流しあって抱き合う母娘に、自然と口元が緩んだ。



気付けば隣に律希が、母娘に視線を向けたまま立っていた。






「…絶対安静って言ったのに」


「あそこで寝てたらただの空気読めないバカだろ」





…律希も、少しだけど口角を上げていた。



2人で彼女らに歩み寄る。

母娘は並ぶとよく似ていて…

綺麗な顔立ちを涙で濡らしながらこちらへ顔を向けた。





「金鞠はお母さんへ返さなきゃいけませんね!」



ちょっと悲しいけど…それが普通だもんね。

金鞠のためにも、妖全体のためにも…それが良いこと。


金狐、その存在は…これから妖全体に大切にされて行く。



大切にされすぎて苦しくなるかもしれないけど…


危ない人間界に置くなんて、危険だし。




お母さんも喜ぶだろう…そう思っていたのに。


私の言葉を聞いた瞬間、彼女の表情は暗くなった。




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