鬼姫マラントデイズ
え…嬉しくないの?

いや、そんな訳ない…だって今も泣いて喜んでいるのに。



じゃあ、どうして…



律希はいつも通りの無表情へ戻ると、静かに話し始めた。




「……物の怪から妖へ戻った者は、精神が不安定な状況にある。

その危険性から…しばらくは、1人で暮らさなきゃいけない」



「え⁉︎ど、どうゆうこと⁉︎」



初めて聞いた…そんなこと。


そりゃそうか、今まで物の怪から妖へ戻すのは陰陽師が人間を守るためにやってたこと。


妖がそこら辺の知識の疎いのは、当たり前なのかもしれない…けど!




それは…あまりにも、かわいそすぎる。



だって、やっと会えたのに…




「な、なら!なんで金鞠は私と暮らすのを許してくれたの⁉︎」



「……それは、この子が子供だからよ」



「………え?」




涙を浮かべながら、お母さん金狐は話し出す。



「小さい子は、傷の修復が早い。

けれど、深くずっと残りやすい。


傷が深いのを治すために…逆に子供で物の怪になった子は、人が多い中、楽しく暮らすのが良いとされてるのよ」



じゃあ、金鞠のためにもお母さんと一緒に…



そう言いたかったけど、言えなかった。



私の言葉に…お母さんは悲しげに首を横に振ることが、分かったから。






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