鬼姫マラントデイズ
「…ていうか律希、傷は大丈夫?」



相当大きい傷を負ってたはずだけど…


平井先輩の治癒術のおかげで、大体は治ってるだろうけどさ。



でも、あんだけ深かったら……




「安心しろ。慣れてるし」


「慣れてるって問題じゃないでしょ!」



「…そうか?」




律希は少し笑った…自嘲気味というかなんというか、少し切なそうに。


その綺麗な瞳は悲しげに伏せられる。






「もう!もっと…自分を大事にしなきゃダメだって。

律希が傷ついたら、みんな悲しむよ?」





「はっ…そんなの1人か、せいぜい2人だな。

俺はどんなに強くなっても、ただの陰陽師にしかならない。


全て…兄に行くし」




そこで私は言葉を失った。

大きな家の子供…普通跡取りとなるのは1番上。

かつ男だったらもう決定事項のような物だ。



律希、お兄さんがいたんだ…




「ま、兄は良い奴でな。こんな俺でも可愛がってくれる…年が10も離れてるからか」



律希が今15、6だから…もう20代後半?


結構離れてる…けど私の幼馴染もそれぐらい離れてたな。


ま、彼の家は良い人揃いで…大事にされてたけど。





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