鬼姫マラントデイズ
「なによ……折角励ましたのに!」




「いや、だって……そんなこと言うやつ、お前が初めてだし」




綺麗に微笑む彼の笑顔に、さみしさなんて感じられなかった。


昔から、自分の立場柄…周りの表情を伺いながら育ってきた。



だから…なんとなくだけど、その人の思っているようなことが分かってしまう。




律希は出会ったことから、なんか冷たい空気がプンプンに出ていて…


時折、寂しそうな、悲しそうなものを感じていたけれど。




今は不思議と、感じないんだ。





「安心してよ!

律希が死ぬほどの怪我をしそうになったら、私が守ってあげるから!


だから、元気だしてよね!」




「……ああ。

ま、お前に守られるほど俺は弱くないけど」




相変わらず挑発するように言う律希。

自信満々で、ムカつくけどカッコよくて。


……相変わらずだけど、なんか違う気がしたんだ。






「傷、痛い?」


「もう痛くない。大地の治癒術は凄いからな」


「………そう、良かった」




ちょっと照れくさいけど…私は本心を告げることにする。




「言っておくけど、私、律希のこと普通に好きだからね!

良い友達だと…思ってるんだから!



だから律希が悲しんだら悲しいし、嬉しかったら嬉しいの!



分かった⁉︎」






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