鬼姫マラントデイズ
「いやはや、わしら猫又一族は旅が好きなのじゃよ。

人間界に来てみたら…自然とここに足が動いてな。


安心せい、わしは人間らを襲うつもりなどない」




にこっと笑った猫又の少女はそう言った。


黒い耳の左耳には金色と銀色の大きな鈴がついている。


尻尾は金鞠と違って先が2つに分かれている。




猫又は猫の妖。

普通の猫がいろいろあって化け猫になり、それらが集まり妖の一族となるまで巨大化した。


そんな感じで作られた猫又一族は、祖先がただの猫というのもあり妖の中では地位がそんなに高くなかったりする。



けど猫又一族は皆温厚的で、まったりしている。



だから他の妖にはとても人気な一族で、決して見下されたりなどしない。




地位も名誉も他の妖一族と違って気にしない、一風変わった一族だった。





「びっくりした、私てっきり物の怪かと…」



「お主は物の怪を探しているのか?」



「んー…まあ、そんな感じかな」




物の怪を普通の妖に戻す、という活動内容ですからね。




「ほお。だが、なぜお主は妖であるのに…人間として過ごしているのじゃ?


……鬼か?」




猫又一族は、洞察力もなかなかのもの。

きっと私の気の波長とか人柄とかを一瞬で見抜いたのだろう…




「……そうか、噂で聞いたことがあったな。

悪い、謝る」



私の噂をどこかで聞いたことがあるのだろうか…彼女はすぐに謝った。




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