鬼姫マラントデイズ
「おい、たらしって俺は女好きじゃ…」



「うるさいなぁいつも女に囲まれてるでしょうが!ポーカーフェースの下ではニヤついてんでしょ⁉︎


霧花、ちょっと来て!」




思いっきり腕を引っ張られ、凜の後ろへと行ってしまった。


…え、なにこの状況⁉︎




「シルバーピンを見つけた時、あんたと霧花が関わってること知ったの…

霧花だけは、あんたと関わって欲しくなかったのに!」





凜が私を守るように、両手を広げてみせた。


えっと…な、なんで私が関わっちゃいけないんだ?律希と。




「…初めてなのよ、ちゃんとした親友ができたのが。

今までは…私の家にすり寄って来た奴らばっかだったから」



……そういえば、前少し聞いた。

凜は…公家っていうのかな。

そんな家の娘なんだって。


つまり由緒正しきお嬢様。

私をお金持ちだって言ってたけど、凜だって相当なお金持ちだと思う。




…けどその話を話してた時の凜の顔は、悲しそうだったから。


あえて触れずに…なにも聞かなかったかのようにして、接して来た。




「今まで、素性を隠して友達ができても…バレたら2パターンに分かれてた。

猫かぶって気持ち悪くすり寄ってきたか、
そっと私から離れていくか。


…霧花だけなの。


普通の『友達』でいてくれたのは…」





凜…

そう思ってくれてたんだと思うと、私も嬉しくなった。



はっきり言ってしまえば、私も結構なご身分だったから。

お嬢様っていう立場の悪い点が分かっているつもりだった。



現に鬼の村にいた頃、私と普通に話してくれたのは幼馴染とまだ小さい子供たちだけだった。






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