鬼姫マラントデイズ
私は凜を見つめる。

そしてそのまま…


指をパチンっと鳴らした。



妖力の解放の…合図。





「っ、霧花…?」



「…ごめんね、凜」





なんで謝ったのか、そう聞かれても分からない。


私自身もなんで謝ったかの分からないんだから。





「もしかして、霧花は…!」


その言葉を遮るように、律希は大きくため息をはいた。


「…お前も陰陽師一族の家の者。

こんだけ有名な話、聞いたことがあるだろ」




有名…なのか、私は。

自分で言うのも、まあ納得できる。



妖の中でもかなり有名な位置にいる私たち鬼の一族。

陰陽師の中でも律希の家『鬼斬り』が生まれる程だしね。



その族長の孫娘は…人間と鬼の混血。

そして、村を追放された。



…きっと陰陽師なら誰もが知っているのだろう。





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