鬼姫マラントデイズ
律希ははぁー…と意味ありげなため息をついて、

凜はきょとんとした。




「あれ…言ってなかったっけ?」




「…言ってないもなにも、あなたたちが親戚だったって知ったのついさっきだからね⁉︎」





いやぁー…まさか2人が…ねぇ。




婚約者だったなんて。




陰陽師も大変なのね…はぁ。





「ま、今は婚約解消ってことでお互いぼっちよ。

私はこの方が楽だけどね。



…ま、結局どっかの陰陽師男と結婚するんでしょーけど」





凜がどこか諦めたような口調で言う。



もう…受け入れてんのかな。




「だから私は両親に婚約者のことなんか言われるまで、楽しく生きたいのよね。

それまでは普通に彼氏作ってもOKでしょ」




「そういえば凜、昔彼氏いたって言ってたもんね」



「うん。

まあ、本気になっちゃダメって思ったら…悲しくなるけどさ」





はは、と悲しく笑う凜。



…私は早々に、家の『鎖』から逃れられた。



けど、もし私が純血者だったら…鎖に縛られたまま生きていく。




凜も律希も、平井先輩も。



鎖に縛られたまま…どこか苦しいような世界で生きていかなければいけない。





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