鬼姫マラントデイズ
そして今に至る。




出したコーヒーを黙々と飲む平井先輩に対し、律希はぼーっとしていた。



金鞠は幼いながらコーヒーは飲めるので、少しずつ飲んでいた。







「…じゃあ、話そうかな」




カチン、と音を鳴らしながらコーヒーをコーヒーカップのセットの皿に置く平井先輩。



2人掛け用のソファに金鞠と並んで座った私は、平井先輩の声に耳を傾けた。






…きっと、平井先輩にも秘密があるんだ。




それを…話そうとしてくれている。




なんだか…分かんないけど、素直に嬉しかった。







「僕はね…平井家特有のある能力が、特に秀でた形で産まれたんだよ」




「…能力?」




「そう、能力」






平井先輩は薄く笑うと、目を閉じた。


そしてゆっくり開く…




その目は、吸い込まれてしまいそうなほど綺麗な気がした。




けど、どこか…切なさも感じてしまうのは、なぜだろう。
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