鬼姫マラントデイズ
「平井家の観察眼は常人の感じていることが、頭にすんなりと入ってくる、って感じかな。

しっかりコントロールができる程度のもの」





けれど。


そう続けた平井先輩は、右手を右目に被せるようにして少し切なそうに笑った。





「僕は違かった。

相手の思っていること、感じていること、表情に隠された真実が。


コントロール不可能、かつ不定期に急に頭に入ってくるんだ」




…だから、平井先輩は。


私の心を…たまに、読んでしまって……




「コントロールできない程、大きな力。

家族は喜ぶし、僕の家が使えている律希の家も喜んだ。


けど…僕は、こんな能力…嫌いだよ。




この能力のせいで…今まで、何度も……!」






そこで言葉を止めた平井先輩は、肩を縦に揺らしていた。



その様子はとても苦しげで。





…平井先輩の過去が、少し垣間見えた気がした。








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