鬼姫マラントデイズ
廊下をすっすっとしなやかに歩く…のはもう疲れた!


今日でお嬢様扱いが終わりなら…


私もお嬢様の行動はやめてもいいよね⁉︎



少し小走りで自室へと駆け込んだ。




お爺様の部屋程ではないけど、広い部屋。


落ち着く畳、汚れがない壁、お気に入りの鏡、着慣れた着物たち…



そのうちのほとんどが今日で…お別れ。




着物を何着かだけ選ぶ…お嬢様しか着れないような、高級で派手なのは1つだけしか持っていかないどこう。

特にお気に入りのやつだけにしよう。



そう決めてもなお、愛着の湧いた着物たちから離れるのは辛い。



選りすぐって、たった8着だけ…私は選んだ。



そのうちの7着はシンプルで、今の人間界でも着る人が多めのようなもの。


これならなんとも、あっちに行っても思われないし。





荷物整理が終わりそうになった時…部屋の外から「入っていいか」という声が聞こえた。



もう聞き慣れた彼の声…けど今日の声はとても小さい気がする。



きっと悲しんでくれてる…と、そう思いたいよね。





「いいよ」




スッ…と開いた障子の奥から現れたのは、幼なじみだった。




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