鬼姫マラントデイズ
即座に謝り、そーっと律希を下ろした。



はぁー…と大きなわざとらしいため息を吐きながら立った律希は、私を少し睨む。



う…


そ、そんな怖い顔しないでよ。




「しょうがないじゃん…」



「…なんでだよ」



「だって、術が唱えられるの…聞いちゃったから。

毒雨に当たったら、律希はすごい傷を負うことになる」




私の言葉に、律希は首を傾げた。


相変わらず少しにらみながら…





「…『毒雨』なんて術、聞いたことない」





「あ!

あ、あぁ………」




ど、どうしよう…ヤバイ、


忘れてた。




『毒雨』…


これは、私たち鬼の一族が作り出した術の1つ。


妖は陰陽師に負けないように、陰陽師は妖に勝てるように。


難しい術の開発を極秘で行っている。




何を隠そう『毒雨』は私の幼なじみが作り出した術。



鬼には効かないし、常人にも効かない。



けど、陰陽師は毒雨に当たることによって、いろいろな傷を負ってしまう。




赤の毒雨だと火傷。

黄の毒雨だと電気が流れるし。


そして、あの時聞こえた青の場合は…


それこそ毒となり、大きい治癒術を使わない限り術を止めてもダメージが続く。





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