鬼姫マラントデイズ
立ち上がって空を見上げる。


木々の間に埋もれ、見える面積はとても小さいけれど。




こんな空を…私は、鬼の村で見ていたのかな。



思えば、いつも下を向いていた気がする。





「…バカじゃん、私」





お嬢様の肩書きにとらわれて、楽しみもたいしてなくて。

同年代の友達もたいしていなくて、いつも作り笑顔を浮かべていた。



たとえあそこに愛着が湧いても。

恋しくても。

大好きだった皆がいようとも。




私がもし『人間として生きるか鬼として生きるか?』と聞かれたら。



人間界に来たばっかの私はきっと後者を選ぶ。



けど、今は…






「…人間として、生きたいの…!」









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