鬼姫マラントデイズ
「…ごめんね、本当に…」




「…別にいいし。

それにお前だって、俺らを思って凛を無視したんだろ?」






素直にコクッと頷いた。

だって…関わったら、皆が危ないから。





「なんでそんな発想に陥るかな」



「…りつ、き?」



顔を上げた先にいる律希は

少し寂しそうな顔をしていた。





「…お前のこんな顔、見たことねえんだよ」




そう言って…


彼の左手が私の後頭部へゆっくり伸び…



すっと、優しく胸板に押された。





突然のことにドキっ!と跳ねる心臓。


けど…嫌じゃなかった。





「人間に、なりたいんだろ?」




「…無理ってことはわかってる」





「……諦めんなよ、そんな簡単に。

さっき泣きながら人間になりたいって、言ってただろ?」





泣いて…たんだ、私。





「今も…我慢するな。

泣き顔、見ないから。






俺達は、お前のこと嫌いになったりしない。

もう大切な仲間だと思ってる。




たとえ…1年前までは、敵同士だったとしても、




今は皆、お前のことが好きなんだよ」








その言葉が発せられ、終わった瞬間に



私の涙腺は……ゆるまっていく。





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